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関西を拠点に働く通訳の通訳以外の営みを多く含んだ日々雑感。自分の記録のための日記です。






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A Pale View of Hills を読んで
先日、カズオ イシグロの "A Pale View of Hills"を
読み終えた。

A Pale View of Hills A Pale View of Hills
Kazuo Ishiguro (2005/03/03)
Faber and Faber

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戦後の長崎を舞台に語られる、えつこの回想録という手法で
物語が語られる。

日本を設定にしているので、読んでいて、

「chess・・・あぁ、将棋のことだろうな。」とか
「teacup・・・、訳すなら、湯飲みだな。」とか、
和訳したときにどうなるか、ということも考えながら
読んだ。

戦後の日本の男女の役割というか、家父長制の考えが
色濃く出ており、それに対する女性の気持ちを、男性で
あるカズオ イシグロが細やかに綴っていることに、
驚嘆した。

私の親戚はかなり考え方が古いところがあり、両親も
昔はかなり男尊女卑のようなところがあったため、
現代の女性の読者として読んでいくなか、えつこの夫や
義理の父、会社の同僚などの女性への考え方が、
息苦しくて、息苦しくてたまらなかった。
「アホやなぁ。古いなぁ。」と突き放して読めないところを
見ると、私もそういう価値観に苦しめられた世代である、という
ことだと思う。

また、義理の父と夫、すなわち、父と息子の間にある
儒教に基づく微妙な力関係の息苦しさもとても細やかに書かれていて、
興味深かった。世代が変わっていく中で、日本の伝統的な
家父長制的価値観と、現代的な価値観が相克する時期の狭間で
揺れる人の気持ちを描いている、という点では、「日の名残」と
似たテーマだと思う。

「日の名残」では時代に取り残されてしまった、実直な執事の
生き方に焦点をあてていたが、今回は、新しい時代に入る中で
生き方や考え方を変えていく女性に焦点を当てた物語だった。

日本の社会における女性の感覚への深い洞察は一体カズオ・イシグロの
どういう視点から出ているのか、興味深く思った。

私が面白く思ったのは、最初、えつこが理解に当初とまどい、
半ば批判的に見ていた「さちこ」の生き方に、えつこ自身の
生き方が次第にシンクロしていくところである。

終盤に、えつこの自殺した娘「けいこ」が、本当は
誰だったのか、と読者に考えさせるくだりが出てくる。

「えつこ」は「さちこ」であり、「さちこ」は「えつこ」
であり得る、という含みを持たせる仕掛けで、この物語が
特別な「えつこ」という人の話ではなく、普遍的な女性の
物語である、と考えさせる効果があると思った。

そもそも、「さちこ」という女性は存在していたのか、
分裂的に「えつこ」が別の存在として作り出した、
alter ego (分身)では無かったか、という気さえしてくる。

ウマイなぁ!!!!と関心してしまった。
答えは分からない、でも、そんな含みを持たせることで、
物語がいっきに深く広くなるところが絶妙に素晴らしかった。

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この記事に対するコメント
なるほど
これはカズオ・イシグロの第一作ですね。
私は逆に読んできているので、たぶんこの本は最後になると思います。でもいつか必ず読みます。

この本は主人公のえつこの語りとして書かれているのですか?
イシグロの小説は主人公の語りを信じるな、というのが多いですよね。「When we are Orphans」でも、「The Artist of・・・」でも主人公は自分を過大に表現していて、でもそれはウソっぽい、というのが周りの人の言葉から伺える、という展開でした。
これもえつこの語りに、疑問を持ちながら、他に深い意味がありそう、と探りを入れながら読んだほうがいいかしら。
でもそんな読み方をしていたら、なんだか人が悪くなりそうですね。(笑)

YJさんの感想を読んで、ますます興味を持ちました。
【2007/09/20 00:12】 URL | リウマチばあちゃん #aeh.Xfw2[ 編集]

リウマチばあちゃんさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
そうです、えつこが語り手ですね。
確かに、彼女の話を額面通り受け取ることはできないのですが、日の名残や、When We Were Orphansの主人公の語りにあるいわゆる欺瞞とは少し違うトーンでした。えつこが、自分自身の人生を語るところは多くなく、「さちこ」という女性や自分の夫、娘との交流を綴っているのですが、その他者(特にさちこ)に対する態度や表現から、間接的にえつこの感情が分かるという凝った構成になっています。前者の二作品の語り手は、心の奥底で隠したいことや自分を認めてほしい、というような欲求があっての語りのトーンとなっているように思ったのですが、えつこの場合は、なんとなくくすぶっているが意識しきれていない自分の生に対する不安や不満が、他者への視線を語ることにより、本人が意識することなく、自然と読者に伝わるようになっている、って感じです。
こんなに書いて、読む前にご迷惑でなかったらいいんですが、面白いトピックだったので、つい語ってしまいました。
【2007/09/20 18:53】 URL | YJ #/XhSoEu2[ 編集]

本の話
お世話になります。
YJさんはたくさん本を読んでますね。
ここのブログでも多数の本について感想とかのべています。
自分は本は好きなんですが速読ができないので読んでも10ページくらいで眠気がおそってきます。 買う時は読むぞーとかっても、集中して読めないくせがあります。
YJさんは何か速読とか練習方法とかでやったことがありますか?
速読もできないと精読もできないので。。

今速読とか、フォトリーディングとかあるみたいですはが、、、結構有名な著者の方もいろいろと参加しているみたいです。
翻訳業界の人たちとかも情報集めするのにつかってるとか、、、
聞いたことありますか?
【2007/11/18 22:02】 URL | TosH #-[ 編集]

TosHさん
こんばんは。
速読の練習などはやったことがなく、フォトリーディングっていうのも初めて聞きました。
とにかく、自分が好きな本を読む、くらいしかないですね・・・。私も面白くないなぁ、と思う本は全然進みませんし、途中で投げ出しますよ。あと、バイオリズムというか、すごく本が読みたいときと、全然そういう欲求が無いときがあります。妊娠してから、あまり根を詰められなくて、読む本の数が減りました。
【2007/11/18 22:16】 URL | YJ #/XhSoEu2[ 編集]


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