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関西を拠点に働く通訳の通訳以外の営みを多く含んだ日々雑感。自分の記録のための日記です。






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"The Remains of the Day"を読み終えました。
昨日読み終えました。

The Remains of the Day The Remains of the Day
Kazuo Ishiguro (2005/03/03)
Faber and Faber

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この本は、2つのレベルで常に読み進めました。
というのも、主人公スティーブンスが語る回想録は、
「読まれることを想定して書いた日記」のようなトーンがするからです。

彼が受け入れやすいバージョンの回想と、あえて目をそらしてはいるけれど、
心の奥底では気付いている真実、この二つが常に提示される書き方です。
本心を語っているのか、やせ我慢なのか、自身の弱さや過ちを
認められないでいるのか・・・、常に考えながら読みました。

また、信頼し尽くしてきたダーリング卿に仕えてきたことを
人に言えないのは、どういった事情なのか、とても興味深く
読み進めていったので、ある意味、ミステリーのような趣もありました。

スティーブンス執事を理解する上で重要なキーワードだと
思われる言葉は、恋心をお互いに密かに持つにいたったMiss Kentonから
発され、それがイタリックになっていたので、目に飛び込んできました。

pretend
inhabit

勝気ではっきりしたもの言いをする彼女が、

"Why do you always have to pretend?" のようなことを言っていました。
「なぜいつもフリを装うのか。」
また、"inhabit"は、確か、「執事という役割の中でのみ生きるのか。」
といったような文脈で使われていたように思います。

不器用なまでにプロ意識を貫徹し、自分の気持ちよりも、
職務をまっとうする、そんな信念一筋の愚直で正直な人間という一面と
「一流の執事になりたい」という野心が、それ以外の全てを犠牲にさせてしまう、という
自分にも人にも冷たい一面、両面がある人物だと思いました。

彼の完璧なまでのプロ意識に敬服すると同時に、執事という
仕事が完全な主人への服従を強いることへの苦しさを感じずには
いられませんでした。

名門で資本力のある家庭に仕え、人間性を犠牲にまでしなければ
勤め上げることができない職務。

Miss Kentonを訪ねる旅行の途中、スティーブンス執事が立ち寄った
町で、Mr. Harry Smithという人と、"dignity"についての考え方を
交換する場面が印象的でした。

スティーブンスが言います。
"・・・one would suspect that the quality being referred to
(to be regarded as a gentleman) might be most usefully termed
"dignity"."

スミスさんの意見はこうです。
"Dignity isn't just something gentlemen have. Dignity's something
every man and woman in this country can strive for and get.・・・
There's no dignity to be had in being a slave.
That's what we fought for and that's what we won. ・・・
no matter who you are, no matter if you're rich or poor,
you're born free so that you can express your opinion freely."

作者は厳しいまでの対比を強いて、スティーブンスの生を見る
一つの視点を読者にここで見せていると思います。

スティーブンスは、特権階級が全てを取り仕切ることを
よしとしていた時代から、階級に関係なく、個人が独立し、
自分の声を反映させ政治を動かしていく時代へと移っていく
端境期に執事でした。このタイミングが、彼の人生をほろ苦いものに
したのだと思います。

最後の部分では、それでも、なお、彼が信じる執事としての
鍛錬を積んでいく決意をします。しかも、それは、新しい
アメリカ人の主人に対して、気の利いた冗談を言えるように
なる「鍛錬」・・・というのが、皮肉すぎて、そしてそれだけに
スティーブンスの人生を肯定したいという悲痛な思いに、心が
痛くなりました。きっと誰だってそうだ、と。

一度しか生きられない人生を、自分は最良の形で生きたのかどうかー
この問いとどう折り合いをつけ、残りの人生をどう過ごすか、というのは、
誰もが一度はいつかの時点で考えることなのだと思います。
自分が人生の夕暮れ時に立つとき、どのような思いが到来するのか、
どのように感じたいだろうか、と考えさせられました。

英語はとても美しく、礼儀正しい英語とはこのようなものか、
と勉強になりました。とても面白かったので、映画を見直してみよう
と思っています。

長文失礼しました。

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この記事に対するコメント

Merry Christmas !
そして、沖縄からおかえりなさい。

まだ読んだ事のない本ですが、これから私も英語のままで、深く読めるようになりたいと痛感しました。

学生時代にアメリカ文学を通して、個人の尊厳について熱く論文に書いたころを思い出しました。
まずは、英語の理解力をもっと高める事が先決だと思います。

YJさんのブログでいろいろ教えていただきたいと思います。
【2006/12/25 00:35】 URL | Fumika #-[ 編集]

Fumikaさん
早速コメントいただいてうれしいです。ただいまです!
英米文学の専攻でいらっしゃいましたか?私も実はそうなんです。でも、わたしの大学は優秀な人しか卒業論文をかけなくて、私は「優秀でない人」の一人でした。(笑)なので、論文を書かれた人が羨ましいです。私のブログでお役に立てることが一体どれほどあるか分かりませんが、(私もまだまだ勉強中の身ですから)、楽しく英語に関わっていけるといいですよね!
【2006/12/25 01:03】 URL | YJ #/XhSoEu2[ 編集]

私は肯定したいです
この本を読んで、執事と武士道における侍とにすごく類似点があるように思いました。
自己というものを消し去って主人に仕える事に使命感を感じる姿は共通の物ではないでしょうか。そしてそこには個としての自分を消し去ることでのみ完璧な執事が存在するという理想に、スティーブンスは近づこうと努力しています。
そして、そう有ってきた今までの人生を、最後の場面で納得しているように私は捉えたのですが。
でも5才までとはいえ日本に生まれ育ち、日本人の両親の元で育ったKazuo Ishiguroが国は違えども、執事というある意味、武士と似た立場の人を題材に選んだというのは、日本のバックボーンがそうさせたのかなぁ、なんて考えていました。彼のこの本の前作2冊は日本が舞台の小説だそうです。
【2006/12/25 02:02】 URL | リウマチばあちゃん #-[ 編集]


続きです。再度失礼します。

YJさんの感想はとても深く読んでおられるのが伺えて、感心しました。Kazuo Ishiguro作品への愛情が感じられました。この感想を読むと以前感想を読ませていただいた、Never Let Me Go、を私も読みたくなってきました。さっきamazonで購入しました♪
来年の第1冊目はこの本になりそうです。
素敵な感想ありがとうございました。




【2006/12/25 09:38】 URL | リウマチばあちゃん #-[ 編集]

リウマチばあちゃんさん
そうなんです!私も同じように武士道や、また戦争中に兵士として働かれた方たちのことにも思いを馳せました。カズオ・イシグロのルーツが日本にあることが、やはり関係していると思ってしまいますね。そして、日本の読者には特に痛切に、スティーブンスの職務に完璧を求める姿が理解できるのでは、と感じました。

私も、最後のところ、スティーブンスは自分の人生を肯定をしていると思います。というか、彼の忠実で、一本気なところは、不器用さでもあり、頑固さでもあり、年齢も重ねた上で、生き方を変えることを選ばなかった、選んでしまうと、これまでの自分の人生がムダになってしまうと思った、という印象を持ちました。私は少し歯がゆい気持ちがしましたが、この辺は読み手によって、捕らえ方が違うんでしょうね。もう一度読んだら、また印象が変わるかもしれません。
Never Let Me Go、とても読みやすいし、面白かったです。新年1冊目から、きっと楽しめると思います♪

【2006/12/25 10:55】 URL | YJ #/XhSoEu2[ 編集]


こんにちは。
沖縄できっとリフレッシュされたことと思います !

やはり、読まれるのが早いですねー。それに、きちんと読んでいらして驚きます。私は、まだ "Never Let Me Go" を少しずつなんですよ (^_^;)。ちゃんと分かっているのかしら?なんて思いますが、めげずマイペースで読んでいきます。

"The Remains of the Day" は私の相方 (漫才の相方ではないです ^_^) が以前購入していたと思うので探して次に読んでみます。

YJさんのブログ & いらっしゃる方々のコメントは、参考 & 励みになります。いつも見ていますので、無理なさらないように続けてくださいね !

P.S. クリスマスに「漫才」とは、YJさんってホント意外性があった楽しい方ですね (^_^)
【2006/12/25 16:11】 URL | タロー #-[ 編集]

タローさん
タローさん、こんにちは。
はい、沖縄でリフレッシュしてきました、いつもの夫婦の旅行のおきまり通り、天気は悪かったですけど・・(苦笑)一日は、暴風雨でした。
Never Let Me Go、師走の忙しい時期ですが、どうぞ楽しんでくださいね!
私も、コメントを寄せて下さる方達には、本当に感謝しています。いろんな英語の背景を持った方から知恵を拝借できるのは、うれしいです。
関西では、M1グランプリ、結構心待ちにしている人が多いんですよ。日が近づくと、「もうすぐM1やね。」とか「M1楽しみやわ。」とか、そんな会話が聞こえます。やはり笑いがとても大切な文化圏、それが関西!とか思ってしまいます。


【2006/12/25 16:49】 URL | YJ #/XhSoEu2[ 編集]


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